ふと気づくと キッチンで寝ていた
昨日の料理 捨てずに眺めていた
秋の風が 硝子を叩いた
胸の穴が ポッカリと風を通した
昨夜を境に 時が止まったかのように
同じ言葉が 繰り返し部屋の中 巡る
おかずの匂いだけを残して
ごみの袋開けて 捨てよう
はみだしている思い出 入りきらず
いつかなにも 覚えていなくなるように
今の気持ちも 忘れてしまうのかな きっと
腐った体だけを残して
いつかなにも なかったかのような顔で
飯を食べて 幸せだなどとほざくだろう
つないだ右手 深く沈めて
笑った記憶 川に流して
安い思い出 静かに消えて
おかずの匂いだけを残して