溶けるそれのようだ
少しずつ輪郭を失くしていく
だらしなく、切なそうに
溶けるそれのようだ
少しずつ足を早めはじめる
あてもなく、彷徨うように
冷めるそれのようだ
少しずつ想いが離れていく
あっけなく、音も立てず
冷めるそれのようだ
少しずつ艶を失くしはじめる
時は尚、進んでいく
希望の糸が どうか途切れないように
日々の螺旋が どうか続きますように
光の先が 君を照らしますように
祈りの言葉を口にして
溶けてしまった僕らの世界は
冷めてしまった僕らの世界は
甘い匂いでそっと僕らを惑わせて
愛を謳っている
濁るそれのようだ
少しずつ意識が遠のいてく
甲斐もなく、崩れるように
濁るそれのようだ
少しずつ今を悟り始める
何もかも運命だったの
誰のための命なのか
誰のための涙なのか
どんな正義、どんな瞋恚も
この世界を救えないよ
今此処に生きる上で
不調和な日々の上で
どんな顔をしていいの
どんな声をしていいの
薄れていく傷跡が痛みを忘れるように
このまま僕も、いつか
明日を願った僕らの未来が
朝を歌った僕らの未来が
どうしようもないくらいに歪んでしまっても
愛を謳っている
溶けてしまった僕らの世界は
冷めてしまった僕らの世界は
甘い匂いでずっと僕らを惑わせて
愛を謳っていく
謳っていく