口加哩の匂いが 何処からかしている
僕は逃げるように 窓を閉めて少し泣く
産まれてきた事を ずっと後悔している
アルコールで拵えた眩暈で忘れようとした
斜陽 斜陽 西南西の空色
屋上の鉄柵越えて 燃ゆ世界を観ていた
斜陽 斜陽 死ぬなら今だろう
絶望が色褪せて 想い出になる前に
星を模したネオンが星空を掻き消す
僕に見えぬように 世界は煌めいてるのだ 今も
産まれてきた事をずっと後悔している
メンソールで抑えていた涙が 堰を切って落ちた
全部運だと言うなら 僕には何にも関係は無いね
理解者も居ないんだ
姉さん だめだ 先に逝くよ
斜陽 斜陽 生きて そして何時しか
この苦痛を「俺も青かった」と嗤うのか
斜陽 斜陽 死ぬなら今だろう
十月最後の風が 僕を優しく押した
清んだ大気を深く吸い込む
十一月の風が目に凍みる
死ねない。
僕は燃え滓の街で
匿名に生きて匿名に散る
後 数秒で世界に融ける
夜と朝の摩擦熱で溶ける
せめて太宰の小説みたいに
意味の無い言葉で幕を閉じるの
半透明に閉じるの
ほら見て 夜が明けるよ
今 今 目が醒めるよ
悪い夢 見ただけだよ
眩しい
黙祷を絶望に
御早う