あの日 僕は咄嗟に
嘘をついたんだ
どんな嘘か
今は覚えていない
それは大人になっても
心のどこかに
苦い液を
滲ませているようだ
やさしさを勘違いして
本当の気持ちを捨てた
遠くで九月の蝉が鳴いた
もしもやり直せるなら
どこまで巻き戻そうか
君と初めて出逢った日
それとも好きになった日
たった一つの秘密
作ってしまっただけで
君と僕は
違う空を見ている
だけど その眼差しは
ちゃんと覚えてる
他のことは
全部忘れてるのに…
まるでカメラのシャッター
切ったかのように
僕の嘘が
時間を止めたんだろう
不確かな愛のせいで
傷つけることを怖れた
思いは夕立みたいだった
なぜかこれでよかったと
今では思えてしまう
だって 心の片隅に
こんな痛みがあるから
もしも正直だったら
痛みも何もないまま
僕はもっとズルい人になってた
もしもやり直せるなら
どこまで巻き戻そうか
君と初めて出逢った日
それとも好きになった日
たった一つの秘密
作ってしまっただけで
君と僕は
違う空を見ている