母に添ひし歩く夏の
蜃気楼みたいな眩い日々
いつの間にか
心の奥隠してしまった言葉
なぜにうまく なぜにできず
戸惑う僕は伝書鳩
泣いていいよ 泣いていいよ
聞こえるは青き風
君はいいこ きみはいいこ
あれは空音か君の声か
開けられない扉の前
行きつつ戻りつ
にわかの雨。
本の棚の背表紙たち
語って
何もかもを
なぜに声に
なぜに出せず
黙ったままでいたのか
泣いていいよ 泣いていいよ
聞こえるは青き風
君はいいこ きみはいいこ
あれは空音か
君の声か
君はいいこ きみはいいこ
あれは空音か
君の声か
うたた寝にみた幻か