小春日和の 愛縁坂を
今年もあなたに 逢いたくて
日傘をさしていそいそと 寺詣り
姓は富島 名は松五郎
実らぬ恋を 胸に秘め
黙ってわたしを あゝささえてくれた人
秘めた想いは わたしもおなじ
許されぬ夢と あきらめて
心に鍵をかけたまま あの夏の
ふたり眺めた 海峡花火
あなたの情(こころ) 知りながら
女になれない あゝこの身がつらかった
白い蝶々が お墓のまえに
どこから来たのか ひらひらと
手向けた花に愛しげに まといつく
きっとあなたね 松五郎さんね
わたしの胸に とまってよ
この世で叶わぬ あゝ想いをとげましょう
―とげましょう