調教師の指さす方へ
囚われた檻の中
調教師の指示する事を
間違えたら お仕置き
調教師の鞭の音が
夢の中も止まない
調教師の喉が見えた
噛みつき方 忘れた
馬鹿げた世界に もう
さよなら、と 手を振って
新しい世界は まだ
地平線の その先に
失くしたプライドへは
さよなら、と 手を振って
残された物は ほら
従順な 尻尾だけ
繋がれた 鎖の先の
愉快げな 嗤(わら)い声
繋がれた 鎖の端を
握る気配 感じる
繋がれた 鎖の音に
心地良さを 覚える
開かれた 檻の向こうは
何が待つか 見えない
抑制された四肢に
刻まれてく傷痕と
身体に触れるものが
ただ一つのリアリティ
貫く痛みの中
思考さえも溶けてゆき
残された爪の跡
夢と現(うつつ) 壊れてく
馬鹿げた世界に もう
さよなら、と 手を振って
新しい世界は まだ
地平線の その先に
失くしたプライドへは
さよなら、と 手を振って
残された本能が
ただ一つのリアリティ
馬鹿げた世界は もう
開いた檻の扉
馬鹿げた世界は もう
自由なワタシが ほら
辿り着いた この場所へ