あなたが八度七分の声を使うときは
必ずあたしに後ろめたいことがあるとき
汗ばんだって恥じらったって
訳もなく触れたがったりした
凍えたって甘えたって
ただの刹那に変わったふたり
そのときすべて流れ落ちた
冷たい秋はたった二度目でも
砂場の砂も気持ちもぜんぶ
ふたりの手で滑り落とした
あなたが脈略も無くキスをくれるときは
必ずあたしの機嫌を損ねた様なとき
そのときすべて壊れ落ちた
激しい雨には慣れていたけど
お得意の嘘や詮索ごっこが
最後のあそびへ導いていた
この所悔やんでばかり居る
口には決して出せないけど
今のあたしだったらあなたと
退らずに済む様な気がする
許されるなら本当はせめて
すぐにでも泣き喚きたいけど
拘っていると思われない様に
右眼で滑り台を見送って
記憶が薄れるのを待っている