あれは遠い日の ささやかな出来事
父の帰り待つ 駅の待合室
古い時計だけ 他に誰もいなくて
ひとり待つ私 涙こらえていた
やがて聞きなれた あなたの足音に
夢中で駆け出した あなたの胸の中に
もう戻れないほど 大人になったけれど
忘れない あなたと生きた かけがえのない 灯(ひ)と刻(とき)
明日旅に立つ 別れの手紙を
綴(つづ)り終えた今 あの日に戻っていた
どうか元気で…と書いたインクの上に
言葉より伝えたい 滲(にじ)む涙の跡
やがて夜が明ける 消えゆく星達に
まごころ託したよ あなたに届くように
もう戻れないほど 大人になったけれど
忘れない あなたと生きた かけがえのない 一時(ひととき)
何もないけれど あなたに抱かれていた
そんな日常(にちじょう)が とてもいとおしくて
もう戻れないほど 大人になったけれど
忘れない あなたと生きた かけがえのない ひととき
もう戻れないほど 大人になったけれど
忘れない あなたと生きた かけがえのない 人(ひと)・時(とき)