脳と言う名のノートに
刻み込んだ痛みも
NO とは言わせないくらい
鮮明に残っている
あれとこれを天秤にかけて
眉間にできた川の中で
YES と笑ったのは
わたしなのに わたしなのにな
アリの巣みたいに複雑な
迷路の中に迷い込んだアリスは
もう二度と戻れないよ
後に引けないよ
ねぇ わたし 昨日のわたし
無理して笑ったその理由を教えてよ
ねぇ わたし 昨日のわたし
増えたシワの数も
小さな声で耳打ちをして
苦味の強いコーヒー
甘く仕立ててよもう少し
人生もおんなじ
クリーミーにクリーンにしていくの
そうやってダサく嘆いては
生まれる駄作に嫌になる
言葉を紡ぐたびに
涙が出る 何かが消える
キラキラに光る瞼の上
虹色のネイルお洒落な洋服は
わたしを守るための
優しい鎧だわ
ねぇ わたし 昨日のわたし
買い被った台詞
震えていた気がするの
ねぇ わたし 昨日のわたし
変な寝ぐせ指でなぞる
フリをして慰めて
おばさんになったこと
泣けない日が増えたこと
自分より大切なものができたこと
治りの遅い傷や
時に唄い出す身体
今しかないわたしを
わたしで抱きしめて
ねぇ わたし 昨日のわたし
無理して笑ったその理由を教えてよ
ねぇ わたし 昨日のわたし
増えたシワの数も
小さな声で耳打ちをして
わたしに知らせて
生きてる証を
脳という名のノートに
刻み込んだ記憶の
音に生かされてる
わたしはきっと ずっと。