切れかけた街灯に照らされて
明滅繰り返す人々の影
ゴムの匂いと空気の湿り気
静寂と呼ぶには、はなはだ多弁
したがって 定まらぬ視点
星を滑って 東北に流転
蛾が群がって どうせ無駄だって
夢に焼け落ちて あとは何もねえ
行き先のない乗車券 此岸の終わりの夕景
地球の裏の荒野へ 早く連れてってくれ
夏の庭に犬の骨 死屍累々の日付
それを踏んづけて明日へ 気管支炎の音符で
血を吐くまでは歌え 放射状 北の山背
そこに咲いた花でさえ 冒涜は許されて
体内に発車の汽笛 血液は逃避の路線
旅立っては近づいて 離れてくのはどうして?
苛立ちは尚叫んで ひび割れた今日の風景
地表にうがつささくれ 二月は無垢な難破船
スピードと摩擦 内臓を焦がして