クッキーの缶には宝物 ビー玉は陽の光吸いこんで
流れていく初夏の雲が薄紅色に染まる
母のブラウスは写真の中で揺れている
洗濯物は夕焼けの香りがした
形も知らぬ 言葉も知らぬ
心の似てる遠い命に
ひそやかに話しかけてみた
美しく寂しい星のあなたへ
屋根を弾く雨の音に愁いと微睡みを溶かして
透きとおる藤色の櫛 髪結いは背中の唄
手紙に綴られた優しい癖の文字にはまだ
あの日の面影が鮮やかに残っていた
形も知らぬ 言葉も知らぬ
心の似てる遠い命に
ひそやかに話しかけてみた
美しく寂しい星のあなたへ
夜空には銀河の粒 ベランダから愛を込めて
一面の輝きは 星明かりのトロイメライ