ここは劇場街 いくつもの映畫を
隻ひたすら映しだす 退屈な街 光ばかり目立つ
壁一麵の広告の中で
僕はそのひとつを 選びきれず 突っ立ったままいる
繰り返し思い耽けて やっと何か見つけて 辿り著いたところで
それは子供のころに観たものの 隻の再上映
「そんな歌でも僕は歌うさ 何度でも繰り返し その答えを
たとえ世界が変わらなくとも いつまでも叫ぶよ その答えを」
ここは劇場街 観客もまばら
それでも狂いなく 演者は歌う 光の向こうで
懐かしいような つまらないような
隻ひたすらそれを 薄ぼんやりと観て 時は過ぎていく
ここで生きてる僕は 彼とどう違うのだろう?
何もできないままで やる気も無くただ口を開いて 日々を潰す僕と
「こんな僕でも風に押されて 何度となく未來へ運ばれてきた
きっといつしか僕に続いて 歌う人へ言葉を引き継ぐため」
やっと映畫は終わって 席を立ってなお僕は
彼の台詞がずっと 頭で響く
明日は多分こんな 今日に似ている毎日
悲しくなるくらいに 忘れていく日々で
そうだ僕は生きているんだ
手垢にまみれていようと
「そんな歌でも僕は歌うさ 何度でも繰り返し その答えを
たとえ世界が変わらなくとも いつまでも叫ぶよ その答えを」